ツバメの巣立ちと入れ替わるようにして、いつの間にかジョロウグモの雛たちがガーデニングに巣を張りました。今までどこに居たのでしょうか。コクサグモはとっくに住み着いていたのですが。
既に、NNNNNが特徴のジョロウグモの網の中心でしっかり小バエを咥えている。スケールが小さいだけで振る舞いが大人と変わらないのが、クモ幼体の面白いところです。(松葉ならぬ、芝の刈りカスでも散らしたみたいなオナガ幼体とか。)
ジョロウグモは、やたらデカい網をかけて、黄斑に赤いアクセントの目立つ姿、そして名前の憶えやすさ、その男を手玉に取るような響き、オスを食ってしまう話・・・から、なんだか強そう、凶悪で狡猾なこれぞクモの代表・・・みたいなイメージかもしれません。
仮に、力の強さ、いかに大物を食えるかを、強さの尺度とすると、実際はそんなに強い蜘蛛ではない。大型で黄縞という点で間違えられてそうなコガネグモとは、網の強度、腕力、かかった獲物を仕留める能力、胆力(?)に歴然の差が。
コガネグモは、網に獲物の反応があるなり即座に駆け付けて、もがく相手に大量の糸を浴びせかけ、瞬時に白い簀巻きにしてしまいます。あとは好きなときに食うだけ。
ジョロウグモは、獲物がかかると、網の振動を見て様子見、毒牙で噛みついて様子見、相手が鈍ったら近づいてトドメの毒を入れて待ち、虫の息の相手に細い糸を絡めて巣の中心に運搬して食う。
ジョロウグモは慎重派なのです。無茶をしない。その網の強度も、適度な相手を捉えるが、手に余る力を持つ相手には破られる、合理的な設計とも言える。(←自説です)
対してコガネグモは、網が耐える獲物ならば問答無用で突撃、捕捉にかかる。(まあこれも自説です・・・。)オオカマキリを差し向けたことがあるのですが(ジョロウグモの網では確実にすっぽ抜ける)、3倍にもなろうかという体長の相手でも、一応は網に張り付くのですね。そこからは、互いに相手を拘束にかかるデスマッチが始まってしまいました。結局、カマキリの重さでは張りついたままともいかず、網から落ちて勝負は流れました。
ということで、黄黒模様の蜘蛛の(強い寄りの)イメージは両者が混ざってるんじゃないかと。
大物食いという点ではオオヒメグモが更に優れますが・・・果たしてカマキリも食うのかどうか。試させてもらうべきか?
<余談>
創作上のイメージは誰に制限されるものでもない、自由です。
写実の意図・使命がないなら、細かい部分の正しさとか間違いに突っ込むのは野暮ってものですので、創作の蜘蛛がどう動こうが文句はつけないのですが、しかし、異種生命と絡ませるファンタジーでの生殖行動の描き方はどうも目に付くもので。
蜘蛛の尻から昆虫のように産卵管を生やすのはどうしたものかと。
69の体勢で、触肢をスポスポする方が(オスの行動です)、ケモノの乱暴さとは違った・・・静かな異常さを演出できませんか?(網に拘束され、神経毒で感覚もない身体に、ただ作業のように打ち込まれる様子を見せ付けられるみたいな・・・。)異種間の趣ってのはそこにあるのじゃないかと思うのですが・・・。
[追記]
せきね みきお さんによるこういうサイトがありましてですね・・・
私がながながと垂れた文章よりも、クモのことを簡潔に、しかもくわしく、的確に解説しておられます。
あー恥ずかしいよ俺!でも、俺が観察してきたものは間違いじゃないらしくてちょっと安心した。