アクシズの脅威のBGM

BGMが盛り上げてくれると、シミュレーションゲームでの思考時間は、操作がときに単純作業的な下準備であっても、自分がなんかすごいことを実行している気にさせてくれます。

「ギレンの野望 アクシズの脅威」はオーケストラの迫力ある良曲揃いで、サウンドトラックの発売を望むところです。ネット配信なら売るだけ得のような気がするのだが素人考えだろうか?

さて、このBGMは操作する勢力別に、それぞれの雰囲気を捉えた曲が与えられています。

私の印象では、連邦は「正義の解放軍」、ジオンは「背水の陣」、エゥーゴは「善のヒーロー」、ティターズは「悪の帝国」といった感じです。対立する2者が明確にいいやつらのテーマとわるいやつらのテーマで分かれています。

原作を知っていれば、いかにもこの勢力でプレイしている感じが出て気分を上げてくれるBGMたちですが、しかしそれは当然、それぞれの軍の性質と結末を知っている、ゲームの外側の視点に合わせて作られているのですよね。

このゲームは、原作を再現した舞台を用意したけど、そこから先はプレイヤーの選択次第で「if」のストーリーを楽しめますよ、という作りです。特に今作では、ゲーム中の行いによってロー/カオス(規律/無秩序、というよりは人道/非人道)の判定がなされるアライメントシステムが導入されております。プレイによって善にも悪にもなれるのです。

アニメキャラクターもののゲームである以上はアニメの印象に従う、というのはわかるのですけど、せっかくの判定と展開分岐システムがあるのですから、印象を固定せずに、行動によってBGMも変わる、という風にできていればいっそう良かったかなと。

初めから連邦とジオンの曲を入れ替えても成立するのですよ。むしろ連邦側BGMの、勇壮で正当で、正義の味方が攻めてやるぜー!という感じは初期のジオンにだって合致するわけです。ジオン側ときたらのっけから暗く、破滅の予感を漂わせていますし、戦闘時はいかにも切羽詰まって、もう攻めるしかねえ!という感じです。電撃戦でイケイケの状態だと、ちょっと合ってないんですよね。勝者が正義、というのを逆算してテーマを付けてしまうと。(ゲーム開始時点で、各勢力のいきさつによって、既に性格が付いちゃってるんですけどね。グリプス戦役は特に。)

これが、アライメントとか、形勢によって変化したら面白いと思うのです。例えばエゥーゴのほんわかした戦略BGMですけど、追い詰められて支配地が本拠地だけになっても、相変わらずほんわかしてますから(笑)。そういう状況でジオン編戦略BGMの悲壮感に変わったらどうです?緊張するでしょ?

曲の善~悪の印象ですが、(善)エゥーゴ~連邦~アクシズ~ジオン~ティターンズ(悪)の順でグラデーションになるんですよ。まあ5段階でBGMが変わるとクドいかもしれないのですが、それぞれの性格を上手く表したBGMなだけに、「if」を進むと雰囲気が合わなくなるのが惜しいし、新システムに絡めた作りにしておけば体験性が増したのではないかな。

勢力を選ぶ=勢力ごとに原作通り設定された最高指揮官のキャラでプレイする、という仕様だと性格上どうも難しい気はしますが。
戦略フェイズでの大将キャラの絵とボイスは必要なかったかもしれませんね。


[以下余談]

ゲームの内容については、私は編成したユニットが戦闘画面で並ぶのを見るのが好きです。それだけで楽しい。
しかし攻略作戦の「提案」ができずノルマクリアして指示を仰がなければいけないのが面倒なのと、機体の装備に柔軟性が欲しかったところ。
汎用機体では盾・ライフル・マシンガン・バズーカくらいは一律に切り替えられてもいいじゃないか・・・。
装甲は厚いけど盾がないからゲーム的には弱いとか、出力は高いけどビームライフル持てませんなどの劇中の見た目の再現の都合で性能が左右されると、新型なのに使えねえーとか、変なことになる。(どっちにしろ機種が多すぎて実用機は固定されてくるのですが)
3機ユニットと単機ユニットの差とかね。画面を華やかにできるから基本が3機(MS小隊)なのは好きなんですけどね。逆にワンオフでもないのに単機に設定されちゃった系機体が不遇です。単機用/3機用の数値を取り違えたと思わしき理不尽性能も見られるのが残念。


「if」とは言っても、「もしMSを開発しなかったら」のように原作の根底を覆すようなものは流石に用意されていないのが惜しいかな・・・?
本来MSのオプションメカである機体を戦闘機として使うとか、次世代のMS母艦を開発を速めて、強力な戦闘艦として単体で使うとかは出来るのですが、MSの代替となるゲームオリジナルユニット等はありませんから、MSを使わない、という縛りプレイの範疇に留まっています。
当然、敵(コンピュータ)勢力、例えばジオンがMSを開発しないで攻めてくるなんてこともありません。
そこまで行くともはやキャラクター商品としては逸脱しているとは思いますが。
仮に、そのような戦闘機や戦車のデータが用意されていても、さらにそのifとしてやっぱりMSを使う、単に戦力増強として使う、なんてのもプレイヤーの自由ですから、本当にifを歩ませようとすればifストーリーを別に作らなければなりませんしね。

ただ、架空兵器としてのMSの魅力を感じるために、むしろ、それよりは現実的な方向のユニットを充実させて対抗させる、というのも面白いと思うのです。

まあ・・・ゲーム的には「艦船の間接攻撃+戦闘機の盾」のセットはMSに対して充分優位なんですけどね。

間接攻撃が不可能なMSでは、1ターンにつき正面1マスの戦闘機を撃破するのが関の山。返しのターンで空きマスに1ユニットでも補充され続ける限り前進すらできない。
艦船は、反撃を受けない位置から一方的な攻撃が可能。

補給線を確保できると盤石。
キャノン系MSを使っても同じようなものです。
連邦系MSの方が間接攻撃機が充実しています。MS駆逐MSですから。


M粒子の扱いは難しいと思います。効きすぎると連邦編は辛くなるでしょうし(上図に示した間接攻撃によるMS撃破効率が、MSが戦闘機の壁を消化する効率を下回ってしまう。原作でのMSの優位は正にそれ。)、そうなると結局MSの開発に全振りして量産して正面からぶち当てる・・・みたいなワンパターンなゲームになってしまうかも(原作通りと言えばそうなのですが)。そう考えると、MSを使おうと縛ろうとそれぞれに手ごたえがある遊びができるのは、ゲームのバランスがよく練られているということなのかもしれません。

結局、ゲーム的にも、アニメの再現としても、これはこれでいいんですね。
宇宙ではMSに負けても地上では爆撃機が強力ですし。これ以上早く、安く、強い(宇宙)戦闘機なんか出てきたら完全にMS否定論ですから・・・。
その点では、飛行可能MSはゲームで猛威を振るいます。そりゃゲーム的に爆撃機とMSのいいとこ取りなら強くて当たり前です。補給線の確保が速すぎて母艦も必要としません。
ゲーム中には劣悪燃費で3回か4回攻撃したら息切れ、という不遇MSがいるのですが、考えたらTMSの方が移動力と攻撃適正の広さで縦横無尽の行動効率、というのはおかしいんじゃないでしょうか。いや、アニメではホイホイ飛んでますけども。
そこはMSか戦闘機か、というのと同じで、MSに勝るTMS、という世界設定上の約束がありますから。とはいえもう少し使い勝手に難があってもいいかも。SFSは燃費悪いんですよね。このゲーム、弾と燃料を区別していないので、どっちの消費イメージなのかと・・・。総合的な継戦能力としてまとめられているのはわかりやすくはあるのですが。だから、専用装備で高燃費と決められた機体に装備の選択肢が欲しいというね。

間接攻撃有利の面からも、武装変更はさせたいが・・・そうするとそれを使わない手はないってんで、またワンパターンになってしまうのかな。結局バランスが取れているってことかあ。