妖精帝國を堪能すると、今度はファンタズムが聴きたくなる。
妖精帝國の少女的軽やかさに対して、ファンタズムの沈んでいく感もまた良い。(私の知る範囲ではエヴァネッセンス的と言いえるだろうか?同じではないけど。)
楽曲は徹底して中2的抽象耽溺世界なのですが、むしろ浮ついた部分が無くて、ストイックであるとも言える。
ゲーム内バンド(ゲームは未プレイなのだが)という企画モノの美点だと思います。アイマスなどでも同じかもしれませんね。空想のイメージを自信が代弁するよりも、キャラクターに代弁させる形の方が、割り切ってやれるのではないですか。
2アルバムでほぼ完結してるのもいいところで、持論ですけど、アーティストが一定のスタイルのままで制作できるのって、2つ目までだと思うのですよ。曲なら2ndアルバムまで。漫画なら2巻まで。映画ならツーまで。(実際、後発曲は少々雰囲気が変わってる)
まあそんな邪推はどうでもいいのです。
ゆいにゃんは低音がキレイだよね~!と言いたいだけなのだ。低くしても濁らず、艶があって、切ない響きがある。
LIVE版だと超人ゆいにゃんのエネルギーが加わり、えぐるようなドスを伴う。まるで別ボーカルなのですが、それはそれで素晴らしく、沈みたいときはアルバム、エネルギーが欲しいときはLIVE、と2度おいしいわけです。うん。好きです。
で、曲もいいんです。
ノリがいいとか、メロディアスという意味のわかりやすさではないのですが、構成はシンプルで、まずピアノの旋律で導いて、バンドの鋭さを従えたボーカルに続き、またピアノ、というのがだいたいの流れ。
バンドから切り替わるピアノの美しさにハッとするんですよ。どちらかといえばキャッチーで印象に残るのは始めと終わりのピアノフレーズの方で、ロックで高めた気分を、気持ちよくクールダウンしてくれて、なんか全体として美しいメロディーを聴いていたような気がする。全部が前後ピアノパターンってわけではないのですけど、サビで気持ちよくなる、というよりアンカーのメロディがキレイに閉めるのが特徴だと思うのです。割と独特じゃないかな。
ピアノパターンだと、イノセンス、グラジオール、マスカレードなどが上記の通りの構成です。特にマスカレードは、〆ボーカルから〆ピアノ、という抜群に気持ちいい余韻スタイルである。
中2系というよりオタク系と言ってもいいのだが、括りと言っても妖精帝國とシャッフルしては聴けませんね。両者性質は違うので(榊原ゆいとファンタズムもシャッフルできない)。
こういう方面でのアーティストって新しく出て来ないですかね?
バンドアニメ(アニメバンド)とか、声優アーティストって増えてるじゃないですか。そん中に尖ったことやってる人居ませんか?俺が知らないだけ?
そこにヒットする年齢的タイミングもあるので、ハマるかはわからないのですが。まあ俺は、一生中Ⅱ趣味だと思うけど。
そう・・・世界が狭いことと、感受性が強いこととは、似て非だとは思うのですが、何も知らない時点へ、全てが刺激的な時点へ、帰りたいと思うことはよくあります。
そういう表面上の刺激を、ただ刺激として受けるのが快であった時分と、自分の腑に落とせるようになった段階とでは、どちらが幸福か。
いや・・・自分の欲求に沿う形で摂取しているのは変わらないので、作り手にとってどちらが幸福か、なのか・・・。今自分でも何言ってるのかわかりません。
あー、中2系用語の良いところは、受け手の都合で解釈できることですね。何の隠喩であるとか。
ユーザーが積極的に関与できる部分が残されているものは、長く楽しめる。と思います。