療養中に観た映画

例の流行り病です。

病状が落ち着くと暇になるので、目に付いたものからダラダラと観ていました。

以下、観た順に簡単な感想。

○拷問男/Daddy’s Little Girl

これは面白かったです。娘を殺された復讐に犯人を拷問にかけるパパの映画。邦題につられて見ましたが、これじゃ夜な夜な出没する殺人鬼みたいなタイトルだよ。まあ他にイケてる題が思いつきませんが。

これの拷問シーンに比べれば、病気の方がマシかな、と思える、療養中にオススメの映画です。

裁きは完遂して欲しかった気もします。けどそうすると、感情の比重のために、被害者の会のシーンをじっくり入れる必要があるでしょうから、本編はあれでダレずにきれいに終わっているので、いいのかな。

芝居もカメラも音楽もいいので、気持ちよく観れます。

失望ポイントがないだけで映画って面白いものですね。

○武器人間/Frankenstein’s Army

暇つぶしに観るなら覚悟した方がよいよ。あまりにも退屈なので。ヴァイラス(1999)より10年新しいとは思えない。逆に10年どころか20年は古そう。

手持ちカメラの映像が悠長で無理がありすぎる。適当にクリーチャー系FPSのプレイ動画でも観た方がよほど楽しいでしょうね。

導入がただ冗長で・・・あれなら最初から、

博士のドキドキ実験室☆ついでに街がパニックになっちゃった☆

でいいじゃん。そうすれば、退屈なソ連兵のやりとりも、稚拙なハンドカメラも無くて、普通のB級パニック映画にはなるでしょう。

ただのゾンビに過ぎなかった脳ミソ合体兵を暴走させてオチつければいい。で、何年後かに通りがかった人が機械兵の死体を見つけて・・・。

初邂逅シーンの、死体が動くやつ、あれじゃ最初からネタバレだよなあ。ホラーにしろパニックにしろ、焦らしが出来ないって、そのジャンルでは致命的だと思います。

観客とキャラとクリーチャーがなんとなく同じタイミングで緩慢に出くわすだけ。映ったときにはもう既視で、もう飽きてる。そんな感じです。

○シン・仮面ライダー

良かったところから言うと、キャラがどれも面白かった。まあ敵サイドはアニメ的テンプレ造形とも言えるけど、女性陣がかわいいのでアリ。あんなコテコテでちょっと萌えちゃうのが悔しいレベルで。ただ、かわいいテンプレはアリだけど、カメカマ怪人の病みホモ属性には、またこれかぁ。って感じ。

一番面白かったキャラだと、2号のヒネくれたような、直線的でない親しみやすさは好きです。あのキャラはなかなか見ないんじゃないかな。

あとはいつも通りというか。相変わらずの変な横文字遣い。シンエヴァの親父そのまんまのボス(人類を肉の世界からシフトさせちゃおうっての)。最終決戦も似たようなもんで、「お前に俺の何がわかる!」とか、もう聞いたような。

更に、真面目に観るべきなのか茶化すべきなのかわからないCGアクション。私はもうギャグだと思って笑いましたが。

遺言とか精神対話とかのシーンは少々飛ばしちゃいました。長いので。ウェットなシーンが長いよ。あれは映像的には面白くないです。

また、1人称カメラとかスイカ割りとか・・・変な殺陣とか・・・ああいうある種のチープさが、特撮リスペクトだったりするのかな、とか思うと、ネタなのかヘタなのかマジなのか、ホントにわからなくなる映画です。

○RRR

直球勝負のド派手エンタメで面白いので、特に言えることがありません。

ただ、前作の、近代テクノロジーのない舞台の方が、主人公の力がぶっ飛んでいて好きではあります。

テーマ的にも、きっと日本人にとっては、革命の心より、王様とか、貴種流離の方が馴染みやすいでしょう。

○クレヨンしんちゃんアッパレ戦国大合戦

 同・モーレツオトナ帝国の逆襲

両作とも背景美術の美しさに目を奪われました。絵の具っていいなあ。

戦国の方は、少しビターな終わりでした。

束の間の世なら本望な選択をしたいと。ただし、それで誰もが、一片の悔いなしで終われるわけでもない。

ひろしは、迷っても決断する男で、素敵です。

合戦シーンでは、竹束や投石、長槍隊の前進する掛け声などの、ディテールが興味深い。

また、デフォルメの効いた絵柄であの規模の人間集団をさらりと動かしているように見えますが、大変な手間でしょうし、今ではまず見られないでしょう。職人技を感じました。

帝国の方は、首魁の人物像がよくわかりませんでした。

家族愛としても、感動的ではあるのですけど、比較すると戦国の方が、命がけなだけあって(帝国も塔でハラハラさせますが)ストレートで好きです。「しんのすけの居ない世界に未練があるか!」で家族の命運を賭けちゃうのだけど、もう理屈じゃないよね。

戦国は大人視点だからいいのかもしれません。帝国はこどもたちの冒険なので、感情移入するには遅いのでしょう。


しかし、39度前後が微熱に感じるようになって、やっぱなんでも慣れるんですね。あんな拷問でも慣れちゃうのもわかる。(ウソ。わからねえよ!)