機体乗り換えと練習

先日から・・・ペンタブレットをCintq21UX(中古)からArtist15.6pro(新品)へと乗り替えました。

C21がいつぶっ壊れるか不安なのでA15.6を予備として保管しておいたのです。
なんで最初から新品のC24とかC27とかを買わんのかって話ですが・・・縦に長い液晶タブレットが欲しかったのです。16:9なんて横長のエリアで制作しますか?ふつう・・・。横長のものばっか描く人は別として、主なモチーフである人間って縦長のものですから、縦長のエリアで描くのが自然ですよね。

経年劣化か画面の色が大きくズレていたC21ですが、使い易いんですよ。流石ワコムというか。乗り換えてからわかることですが、A15.6はカーソルの追従が遅いです。そのせいかペンの傾きに対しての軸先のズレもまた大きく感じられます。(ガラス面の視差ではなく、ペン先の延長上の座標と実際の座標とのポイントのズレ。これに比べると視差などどうでもよいレベル。)
加えて、筆圧の入りが鈍い。画面に「置いている」状態から少し力を入れないと反応しない。傾けるほど鈍くなる。ぶっちゃけ、筆圧感知が何千とか何万段階だなんて大したことじゃない。目盛りの数よりも、0と1の区別の方が大事だ。踏まないと加速しないアクセルみたいな感じです。足を乗せた段階で反応して欲しいですね。
これが本当に辛くて、いきなり線が表れるみたいな。A15.6はC21より10年ほど後発の、つまり新しい機器なわけですが、ワコムの一日の長ってやつでしょうか。やっと慣れてきたところです。

C21が壊れたわけじゃないんですよ。バリバリ現役なんですけど、どうも無理な体勢で描いていたからか肩に来てしまいまして。いつか話題になった塩振りおじさんっていましたよね。あんな感じなんですよ常に。つまり肘先を回して描いているわけで、これは「肩で描け」とか言う模範からすると良くないスタイルであります。実際肩に負担がかかっていたわけですし。

いや・・・「肩で」とかできるならやるんだが?というか紙に描くなら私もそれが普通なのだけど、液晶ってペン先の摩擦がないので、どっか別の点で腕を保持しなきゃならんのです。だから脇締めてもう片方の手で肘を支えつつ・・・みたいな奇妙な格好に・・・。ほんと、プロのデジタル絵描きがどうやって肩で描いているんだか不思議でなりません。筋力か?

それが出来ない私では、こりゃあそのうち身体が先にぶっ壊れるぞ・・・と身の危険を感じた故の乗り換えなのです。

A15.6にも美点はあります。
まず乗り換えの理由でもありますが、薄いので机にベタ置き出来ます。これなら無理な姿勢になりません。
次に、発熱。C21は気温が20℃以上だと暑くて熱くてもーたまらない(新品でもこうなのかは不明)暖房器具と化していましたので、それに比べるとヌルい程度で済んでいるA15.6のなんと快適なことか。
あと色のズレがない。C21のそれは経年ゆえだと思いますが。しかし発色が良すぎるのでグラフィックドライバで彩度を落とした上にコントラストを0にしています。一般的なモニタよりも作業モニタの発色が優れていても、いいことはないですから。(アトリエで良く見えたものが展示会場(つまり皆のPCやスマホ)で鈍い・・・ということに。)

このA15.6、ペイントソフトを起動して各種ウィンドウに制限された実際の描画領域が、ちょうどB5用紙と同じになるくらいなのです。これはいいよね。ノートと同じ視界で慣れてるし、見やすいし。
レスポンスか座標かどれかひとつ欠点がなければデジタルペーパーとしては申し分なかっただろうなぁ。

でもさあ・・・ワコム高っっっっっっっっっっっっっっっいんだよね。そりゃあ自国製を買いたいけどさぁ・・・。(サイトの日本語が怪しいのだがワコムって日本企業なのか?実態。)まあ10年前の製品で性能は充分なんだけどな。

うん・・・。


イラストは慣らしに描いたアンフィスバエナ・ケンレン・テンポウです。

作画上の実験でもあります。

線画レイヤーに直に着色するか、着彩層の上に出すか下に敷くか・・・。

直に塗ると一括で手を付けられて直感的である一方、色は濁るし線画を侵します。

線画を別レイヤとして、上に出すと着彩層に関わらず元のまま表示できますが、当然制作中そこだけ手が加わらないので浮きます。後から色を変えると(事後の色トレスというやつ)わざとらしくていかにもデジタル風。

着彩層の下に出すと構造上は自然だが、デジタルカラーの隠蔽力が強すぎる問題があります。これをカバーするためにかなり薄ーく色を塗るというのを今は試しています。その分、描き込みが制限されるのが難点です。色を深めるほどに質感が鈍くなる、というわけでして・・・。

デジタル的な模範解答では、不透明に混色しつつ着色した後からテクスチャを貼る、という工程になるだろうと思いますが、後乗せは後乗せに見えるものです。

どこを許容するのかというのが難しいですね。