早朝に蜘蛛と戯れる

バンジー状態のアシナガグモを見つけたので、少々遊んでもらいました。蜘蛛を手に乗せると、造網性にしろ徘徊性にしろ、大抵は歩き回ってから、跳ぶなりバンジーなりで降りてしまって、長く戯れるのは難しい。

けれど、丁度早朝、大抵の蜘蛛が網を張るタイミングでしたから、カーネルおじさんの体勢でじっと動かずにおりましたら、尻を持ち上げて糸を放出。間近で糸を架ける姿を観察できました。

彼は左手の上から、風下の右手に向かって糸を流す。私は右手でそっと糸をキャッチ。両手の間に橋が架かりました。右手へ渡って折り返し、糸の中間点でバンジー。5cm程降下して逆さ吊りの体勢から糸を放出。その糸の端は風に乗って私の顔面へ付着。私の両手と顔を結んだ三角系で網が張られる運びとなりました。

糸を伝って顔前へやって来ては遠ざかる、この3D映像体験。蜘蛛の網造りの様子は好きなので、見かけては観ているのですが、現場に設置した定点カメラで作業を覗くこの感じは新鮮です。

まあ、そのまま目の前で生活されるわけにもいかないので、頃合いで現場を移させてもらいました。

生活感があっていいですね。蜘蛛の網を張る動きは。種によって網の形が違えば、体型によって脚の運びも変わる。一番、観察の機会が多いジョロウグモが、私にとっては基本のイメージなのですが、オニグモの、少し斜めってせかせかした動きとか、たまに見かけると違いが面白いです。

ああ、季節が楽しみ。

<余談>

蜘蛛は不要な糸を食って、また生成します。サステナブルですね。

<更に>

友人が大の蜘蛛ギライで、発見・即・殺しているそうです。

まあ気持ちは分かります。心の平穏のためには、生活空間への闖入者は即・抹殺すべし。私も、黒いのと、臭いのと、鰹節は、発見するなり消していますから。(嫌いなものって、名前の文字列を目にするだけで不快ですよね。蜘蛛ギライの人にとっては、当ブログは相当に不快なはず。ごめんなさいね。)

しかしどうも彼は、部屋に蜘蛛を残しておけば、寝ている間に身体の上を、顔面を、歩き回られるのだ、と変な思い込みをしているようで。

ありませんそんなことは。更に彼、網を張る蜘蛛は全てジョロウグモだと思っている。ないです・・・。ジョロウが屋内にいるとかないです。季節的にも。だいたい、部屋の隅とかで網を張ってる時点で、徘徊しません!と言っても信じてもらえない。

仮にアシダカグモ(屋内の徘徊種。家の中にデカい蜘蛛が!てのはこの方でしょう)が居る部屋の床に寝ていたって、登って来ることはないと思うんだけどな・・・。だいたい壁面を移動してますよね。広い床を歩き回るようなことはしないんじゃないかなぁ。仮に、人みたいな障害物にぶつかったら、沿って歩くのではないかと。

天井からスーッと降りて来るイメージで心配しているなら、無用です。造網種でもそれはない。フィクションで、糸で降りてきて獲物を捕まえ、上方へ連れ去るような描き方をされますが、そんな狩り方はしない。1本糸で降りるのは巣を退避するときか、巣造りの足がかりです。巣の真下を歩いたくらいでは降りてこないでしょう。

いったい、誰に思い込まされたのか・・・。(例の臭いのは、下に物体が近づくと落ちて来ますよね。まったく迷惑な話だ)

まあ、私も黒いの含め、家に入って来る昆虫に関しては似たように嫌っているので、人のこと言えないのですが。(でもトンボは好きなので逃がします。)

アシダカグモの存在が許せん、という人には、軒にオオヒメグモに住んでもらうことをオススメします。小さいながら強力な蜘蛛です。ムカデ対策にもなります。網にかかればハチも食べます。スプレー缶のゴミも出ない、サステナブルな駆除方法です。

蜘蛛の姿に慣れてもらうとすれば、やはりハエトリグモからでしょうね。可愛いを謳った写真が溢れていますから、まずは写真から、ナマへ・・・そして他の徘徊種へ。あんなに可愛くても無理な人には無理みたいですが。

ハエトリグモの安全かつ邪道な観察方法としては、水に落として溺れさせる。死んだイカのように脚を投げ出して動きが止まったら、数分間は気絶していますから、近くでじっくりと見てみてはどうでしょう。覚醒してもゆっくり動き出しますので、怖がることはありません。

(↑実際に私の手で溺れさせたことはありません。蜘蛛は給水のためか、脚を滑らせたのか、流しや浴槽など水たまりに落ちて、溺れていることがよくあるのです。)

多足生物に慣れるには、どこが顔で、腕で、脚にあたるのか、ワケの分からん足の集合物体ではなく、動物だということに気づくことです。